「そうなのか?俺はいい名前だと思うけどな」


「……」


「っで、俺の名前は―――…」


「颯…」


「え?」



【瑠李said】



「っで、俺の名前は―――…」


「颯…」


「え?」


あたしがそう言うと颯くんは驚いたように目を見開いた。


「颯くん…」


「……」


「いつも…あたしに…唯一…話しかけてくる…颯くん…」


「俺の名前…知っててくれたんだ。なんか嬉しい」


そう言って颯くんはまた笑った。


颯くんの笑顔見ると…何か顔が熱くなる気がする…。


あたしは自分から一人になるのを好んでるけど…


こうやって話しかけられるとやっぱり嬉しい…


最初は…人と喋るのを重荷に感じてた。


うまく相手に気持ちが伝わらなくて失敗するのが怖くて…


人と喋るのが苦手で…


あたしはやる前からそうやってあきらめて怖がって…


ずっと…自分の殻に閉じこもってた…。