「まぁ、噂言うても、俺のダチの中だけねんけどな?あの女子、いつも一人やろ?せやから、『本当は虐められてる』んちゃうかって」
「……」
「あの女子も、あの女子を虐めとる奴等も表にはだしとらんけど実は虐められてる立場と虐めてる立場にあるんちゃうかってな」
そう言って冬真は最後に「あくまでも俺らの中だけでの噂やからな~」って言って他のダチの所に行った。
…俺は虐められてるようには見えないけどな。
だってあんな優しい笑顔をしてた奴が虐められるなんて…
それにあの女子は『笑うと可愛い』って噂がある。
どうせ、冬真達が勝手に言ってるだけだろ。
俺が自分の席につくと、それとほぼ同時にあの女子が教室に戻って来た。
女子は自分の席につくと手に持ってた本を開いて読み始めた。
さっき、図書室で読んでた本とはまた別の本。
こいつ、本読むの好きだな。
「なぁ」
俺が声をかけると、この前みたいに肩をビクっと震わせてゆっくりこっちに顔を向けた。
「…は、はい…?」
「そんなに驚くなよ」
俺がそう言って笑うと、心なしか女子の顔が赤くなった気がした。
「そういえば、アンタの名前聞いてなかった。アンタ、名前何ていうの?」
「……る、瑠李…」
「瑠李?いい名前だな」
「…そ、そんな事…言われたの…初めて…」

