生まれてきた意味

パパは、


泣くのをやめた



ママの手を強く握った


「陽人が産まれてくるのちゃんと見届けてやろう。」

10分程で、陽人は出てきた。

小さな、とても小さな体をした

陽人


目を開けることも

動くこともしない陽人


産声もあげず


この世に生まれた


「陽人………パパとママの顔、よーく覚えておくんだぞ。パパもママも覚えておくから。パパとママが天国に逝ったら今度こそ3人でずっと一緒に居よう。3人で幸せに………ク…クック…ク 陽人〜」


「ママだよ……ぅぅっ、
陽人、ごめんね…ごめんね。ちゃんとこの世に生んであげれなくてごめんね…………。ママとパパを選んでくれたのに。ごめんなさい〜ぅぅぅ」


小さな小さな棺が用意された。


陽人の小さなからだ


それでも、棺はまだまだ大きかった。



一度も着たことがない服を、触れたこともない玩具を棺にいれた


パパとママは
陽人を棺に入れる直前まで、陽人を抱っこした。


もう、二度とできないから……

微かに温かい気がする


気のせいか