きっと普通なら、ここで「はい」とか、「ふつつかものですが…」みたいなことを言って答えるのが妥当なのだろう。
でも、あたしには無理なんだ。
「し、翔太。」
「……なに?」
「あたし、その…」
…これから翔太を傷付けてしまうのだと思うと、なかなか言い出せない。
それでも、伝えなくてはならないんだ。
「ごめん、翔太。あたし…、翔太と結婚出来ない……!」
そう言って、額をテーブルにぶつけてしまうくらいの勢いで、頭を下げた。
「………」
翔太の顔が見えないからわからないが、きっと目を丸くして驚いていることだろう。
そう考えると、胸が重く痛み出す。

