薬指に光るモノ





一結婚一



あたしだって、考えていなかったわけじゃない。



いつかはこんな日が来るんだろうなって、思ってた。



だけど、出来ることなら………まだ言わないで、ほしかった。




だって、あたしは一一…


いい返事をすることが、出来ないから。





「あ、えっと……」



決して喉が渇いているわけではないのに、声が掠れて、上手く言葉が出せない。



何か言わなくては。とは思うのに、何も言うことが出来ない。




「……桃花?」



あたしがなかなか声を発しないからか、翔太が不安そうに眉を下げて、あたしを見つめた。




「あのね、その、えっと…」



あたしは、残酷だ。