薬指に光るモノ




翔太から指定された場所に着いて、中に入ると、翔太が座ってコーヒーを飲んで待っていた。




「…翔太。」



ポツリ、と呟くと、それに反応して翔太が顔を上げる。




「桃花、」



翔太はニコリと微笑んで、自分の向かい側の席へ座るようにあたしを促した。




「…あ、えっと。どうしたの?翔太がいきなり呼び出すなんて…」



いつもはこんな風に、急に呼び出したりはしないはずだ。


翔太なら、前もってあたしの予定を聞き出し、お互いの時間が合うときに呼び出すはず。



…何か、急ぐ用事があったのだろうか。




「まぁ…、とにかく座れよ。」



翔太はそう言ってあたしから目を逸らし、ドリンクメニューをあたしに手渡した。



それを受け取りながら、翔太への疑問がまた浮かび上がる。