「そんな、ダサいセリフ吐いている場合か!」


 うるせぇよ・・・。


 俺だってちょっと今、思ったよ。


「おい、そこの変態野郎、取引だ!」


 だけど、悠人は由良の言葉を無視して、黒フードの男に向かって叫ぶ。


「なんだね?」


 ソレに対して、余裕の笑みを浮かべる魔道師。


 今の一連の動作も、男にしてみれば計算内だったのだろう。


 間違いない。


 こいつは、俺を魔道師だということを知っている。


「お前が、どうして由良を狙っているのかまでは、わからねぇし、そんなものにも興味はない。だが、ここでこいつを諦めて、小松さんを放して帰ってくれるというなら、俺がお前の元に行ってやっても良い。」


 魔道師ならば、魔道師の貴重性を知っている。


 一人では不可能な魔法も、二人なら可能になるものも多い。


 生贄にも限界がある。


 人数が集まれば集まるほど、強くなるのが、魔法使いなのだ。


 ならば、この条件は、決して悪くないはず。