「うるせぇよ。要求は何だ?」


 聞いてきたのは、悠人の方。


 あいかわらずその表情は険しい。


 右手をポケットの中に入れているのはハッタリだろう。


 武器があるように、相手に思わせるには有効な手だが・・・そんな初歩的なハッタリが、目の前の男に聞くとは思えない。


「要求か?わかりやすく言うなら、そこの君だな。」


 口にしながら、男が指差したのは自分。


「なっ!」


 ・・・・・・・・・やっぱりな。


 驚いた声を上げる悠人と先咲さんを尻目に、由良はどこかで納得していた。


「ふざけんな、変体野郎。そういう趣味なら、どこかの店にでも行きやがれ!」


 しかし、事情をよく知らない悠人が叫ぶ。


 危ない。


 挑発しすぎだぞ。