~由良~



 現れたのは、全身黒のローブを身にまとった、いかにも怪しい男だった。


 声からして、昨日の男とは違う。


 だけど、そいつの腕には大事な大事なクラスメイトがつかまれていた。


「真琴・・・。」


 口にしながら、前に足を踏み込もうとすると、目の前に腕が伸びきてきた。
立ち止まれという意味だろう。


 視線を向けると、悠人が正面を向いたまま厳しい顔をしているのが見えた。


 冷静になれ・・・。


 その顔が言っていた。


 ・・・・わかってるよ。


 この状況では簡単には動けない。


 一歩間違えたら、真琴を助けられないどころか、こいつらにも正体がばれる。


 それだけは、何とか避けたい。


「実に若々しい少年探偵団だな。」


 黒フードの男がいやらしい笑顔をこちらに向けてくる。


 彼の右手に抱えられている真琴は気を失っているようだ。


 それがせめてもの救い。


 あとは、この二人を何とかすれば、目の前の男をぶちのめすだけだ。