「なんで、お前まで付いてくるの?」


 由良は自分の隣で騒ぐ真琴に思わず、溜息を漏らす。


 これでは集中して中の様子を探るコトができない。


 聴覚を研ぎ澄ませば、彼らの会話だって聞くことができるのに・・・


 ・・・・とは言え・・・。


「これで、あいつらの会話まで聞くというのは、野暮も良いところか・・・。」


 心から思った。


 教室の中にいる二人の雰囲気は、真琴の言うとおり、ピンクのオーラが見えるぐらい、暖かく、優しいものだった。


 ・・・・・・・・・・・・・俺は、そんな彼女を殺そうとしたんだな・・・。


 心のそこで何かが刺さるものを感じた。


 だからこそ思う。


 絶対、どんな手段を使っても彼女を助けよう・・・。


「あぁ~、盗聴器とか欲しい!」


 真琴さん・・・さっきの俺の言葉を聞いてましたか・・・?


 ・・・・・・・・だけど、確かにそうだな。


「アイツ、一昨日フラれたばかりなのに・・・。」


 その事実に軽く殺意を覚えた。


 こうなったら、少しからかってやろう・・・。


「真琴・・・ちょっとこっち・・・。」


 由良は、真琴の腕を無理やり引っ張って、保健室の扉から引っぺがす。