「何を言い出すの?私は・・・」


「悪いけど、先咲さんの髪の毛を昨日調べさせてもらった。先咲さん・・・君は人間ではない。魔法使いに作られたゴーレムだ。ゴーレムには必ずマスターがいる・・・・君のマスターはどこにいる、そして狙いは何だ?」


 先咲さんの声にかぶるように、悠人は声を上げる。


 とはいえ、小声であることは確かだ。


 どこで昨日の影が見張っているか分からない。


 いや・・・もしかしたら、彼女には既に盗聴器が仕掛けられており、ここでの会話は全て筒抜けなのかもしれない。


 危険な行為だ。


 相手には自分の正体はばれていない。


 ならば、彼女を無視するべきだ。


 こんな危険な道は避けて通るべきだ・・・。


 だというのに・・・


「桜沢くん、もしかしてあなた・・・。」


 驚いた表情をしてこちらに顔を向ける先咲さん。


 そりゃ、さすがに気がつくわな・・・。