「何で、お前が宿題やってないの?」


 由良が大きな剣幕でこちらに話しかけてくる。


「そんなぁ~・・・桜沢くんだけが頼りなのに~。」


 隣では、小松さんの泣きかけた顔も見える。


 これで、二人が付き合ってないなんて絶対ウソだ。


「それ以前に、二人とも自分の力で宿題やるという選択肢はないの?」


「数学にいたってはない!」


 お前・・・昨日忘れたの英語の宿題だろう・・・。


「私も数学は苦手です!」


 小松さんは、数学だけじゃないだろう・・・。


「だったら、他の連中に移してもらえばいいだろう?」


「何って言ってるの!今日、私は当たる番なんだから、間違っていちゃ困るのよ!」


 数学の斉藤先生は、毎回宿題を席順に指名して答え合わせをしていく。


 ちなみに、悠人は前回の授業で当たったから、あと二回ぐらい授業で当たる心配はない。


 ということは・・・


「俺は、困らない。」


 口にした瞬間、どつかれた。