まさか、先咲さんが本当に・・・?


 その真偽を確かめるべく、由良は盗聴器と小型カメラを持って、先咲さんの家に乗り込んだ。


 もちろん、こんなこと本意ではない。


 依頼された仕事は、先咲美琴の殺害であって、正体を探ることではない。


 だが、それでも・・・彼女は写真にはなりえない。


 由良は想像する。


 彼女を殺した後のコトを。


 泣きじゃくる真琴が見える、悲しむ悠人の表情が浮ぶ。


 吉田も、山本も、坂本も悲しみながら、落ち込む姿が見える。


 ・・・・そして、その中に混じって、彼らと同じように悲しげな表情を浮かべる自分がいる。


 ・・・・・・・・・・そんな現実、認めるわけにはいかない。


 そんな外道を許すわけには行かない。


 ならば、少しでも彼女を殺さずにすむ方法があるならば、由良は間違いなくそちらを選ぶコトに決めた。


 同じ非道を選ぶなら、まだ救いがある道を・・・。


 そのためならば幼い頃から鍛え上げた外道技だって喜んで披露してやる。


 そこまで決意した瞬間、由良の耳元に何かが聞こえる。