「夢でも見ていたんじゃない?」
「そんなことないわ。私がいつも何時に寝ていると思っているの?」
う~ん・・・それは、それで、興味があるな・・・。
って、今はそれどころじゃないけど・・・。
「疲れて白昼夢でも見たんでしょ?・・・そういえば先咲さん、昨日もそんなこと言ってなかった?」
とりあえず、話をそらす。
・・・・あなた魔法使い?
アレは、ただの断り文句だと思ったが、意味があっての言葉なのだろうか・・・。
「そう・・・あくまで、誤魔化すのね・・・ならいいわ。」
ツンと高い鼻を向こうにそらせて不機嫌そうな顔をする先咲さん。
とたんに罪悪感が悠人を襲うが、だからといって簡単に正体をばらすわけにはいかないのが魔道師の性である。
難儀な職業だ・・・。
「でも、どうして先咲さんは、そんなに魔法使いにこだわるの?弟子になりたいとか?」
気になって聞いてみた。
もし、弟子になりたいというなら、ちょっと考えてみようかな・・・。
先咲さん、綺麗だし可愛いし。
「桜沢くんには関係ないでしょ?」
まったくだ・・・。
「ごめん・・・だけど、一応、気になるから・・・。」
この国の人間は魔法使いについて、それほど知識がある人間は少ない。
だけど、もしかしたら先咲さんは、その少ない類の人間なのかもしれない。
だとしたら、正体がばらせないまでも、少しは共通の話題があるかもしれないと思って食い込んでみた。
ソレを後悔するのは先咲さんの言葉を聞いた瞬間。