「由良なら、たぶん体育館裏だと思うけど今は行かないほうが良いと思うぞ。おそらく先輩にイチャモンつけられているだけだろうから・・・。」


「え?由良が?」


「アイツ、喧嘩強いからなぁ~。適度に負ければそこまで絡まれる心配もないのに・・・。」


 まったく、馬鹿というか、実直というか・・・。


 それでも、アイツは今日も怪我一つ負わずに五時間目には戻ってくるだろう。


「・・・って、別に由良のことなんて、どうでもいいのよ!」


 顔を真っ赤にして、全力で否定されても説得力がない。


「・・・・・顔全体で心配しているけど・・・。」


「うるさい!私はただ、美琴が今日アンタのことをひっきりなしに気にしていたから、なんかあったのか気になっただけよ!」


 先咲さんが?


「俺のコトを?」


「そうよ!何かやったのならすぐに謝りに行きなさい。あの子ならいつも図書室にいるから。」


 そうか・・・


 先咲さんが自分を探している理由は大きく分けて二つ。


 昨日の放課後のことか・・・もしくは、夜のことか・・・。


 後者だったら、早急に手を打たないと・・・。