「あなたには、まいったものです。まさか、暗殺を頼んだというのに、彼女を統率する組織そのものをつぶしてしまうとは・・・。」


 学校の裏庭。


 あのときの黒ずくめの男が、由良に向けて溜息をつく。


 アレから半月。


 悠人の衰弱しきった身体もようやく回復して来た頃、由良も怪我の治療を済ませて、学校に戻ってきていた。


「俺は、俺のすべきコトをしたまでだ。お前には関係ない。」


「まったく・・・裏社会にもパワーバランスというものがあるのですよ・・・。コレでまた、抗争が始まる・・・そしたら、あなたのご学友だってタダではすまないのかも知れないのですよ?」


「もし、そんなコトになってみろ・・・。そしたら、その組織ごと潰してやる。お前たちの組織だって、例外はない。」


 ハッタリでも、虚勢でもなく、本気だった。


 今度は迷わない。


 自分の正体がばれようが、みんなから蔑まれようが・・・。俺はここにいる連中、全員を守ってみせる。