「そうかね?だったら、こんな趣旨はどうかね?」


 男はいやらしい笑みをますます深くすると・・・。


「ミコト・・・その男の足を刺せ。」


 静かに言い放った。


 次の瞬間。


「!」


 足に激痛が走る。


 顔を向けると、ナイフが突き刺さっているのが、見えた。


 ・・・・・・・・・・先咲さんだ。


「てめぇ・・・」


 ナイフを刺した彼女に言った言葉ではない。


 目の前の男に向けて放った殺意だった。


「素敵な演出だろう?詳しい説明は、魔道師でない君に詳しい説明をしても無駄なので省くがな・・・そいつは、私の言うことには逆らえないのだよ。」


 ソレぐらい分かっていたことだ。


 あの日の夜から・・・・・。


 先咲さんが、俺たちを刺すわけがない。


 それに、素人の彼女が自分に追いつけるはずがない。


 特殊な肉体改造。


 そして、強力な暗示がなければここまでは動けない。


 ・・・・・・・・・・この男・・・・


 生かして、帰すものか・・・。