魔道師と暗殺者


「何を、怒っているのだね?ドロ人形は所詮ドロ人形だ。こいつは私の言うことには逆らえない。なんなら、ここで君のためにストリップでもさせようか?」


「!」


 言葉より先に手が出た。


 足がよろけようが、腕が上がらなかろうが、関係なかった。


 殺してやる!


 今すぐ、この手でお前を殺してやる!


「やめて!」


 手が、男の手に届く寸前、美琴さんの悲痛にも似た声が上がる。


 身体が止まり、再度倒れる悠人・・・。


「無理するな・・・君はもう、まともに立てる身体ではあるまい?」


 貴様がそうしたんだろう?


「マスター、そろそろお時間です。もどられてはいかがでしょうか?」


 そんなヤツをマスターと呼ぶな・・・美琴・・・。


「ふむ・・・そうか。そうだな・・・。では、また来よう。若き魔道師くん。次来るときは色よき返事を期待しているよ。」


 男が笑いながら去っていく。


 残されたのは・・・自分と・・・・・・・。


「桜沢くん・・・・・・。」


 今すぐに泣き出しそうな顔をしている先咲美琴・・・。


 桜沢くん・・・・か・・・。


 男のどんな言葉よりも、痛い一言だった。