魔道師と暗殺者


「わかんねぇな・・・。ソレより、美琴さんをいい加減、解放しろ。」


 だから、こいつは先ほど、自分の様子を見に来たシャーリーの存在に気が付かない。


 由良や小松さんの記憶を消すというコトが出来ない。


 自分なら、そんなことはない。


 勝機ならなる。


 あとは・・・・・・・・時期を待つだけだ・・・。


 今日から数えて・・・残り五日と6時間23分32秒・・・。


 悠人は、じっと男をにらみつける。


 男の影に隠れて、自分の前に出てこようとしない彼女を見つめるように・・・・・。


「何を、馬鹿なことを?君も知っているだろう?彼女は私が作ったゴーレムだ。所詮はドロ人形だよ・・・まさか、そんなことのために君は強情を張っているというのか?」


 心底呆れたような、男の声。


「悪いかよ。」


「分からないな・・・こんなドロ人形のために、そこまで強情を張るなんて・・・。」


 口にしながら、男は自分の後ろに隠れて、表に出てこようとしなかった美琴さんを引っ張り出した。


「!」


 髪の毛を引っ張られて、苦痛に顔をゆがめる美琴さん。


「殺してやる・・・。」


 素直に思った。