魔道師と暗殺者


 多少散らかっている悠人の家・・・。


 いや、コレは散らかっているのではなく散らかしたのだ。


 ヒステリーが起こした賜物・・・。


 こんなことまで、させてしまうなんて・・・。


 改めて、お姉さんの顔を見ると、頬がこけていた。


 リビングに座り、お茶を淹れると言い出したお姉さんを必死に止めて、言いだしっぺの自分が率先して前に出る。


 そして・・・・・・・・・・・・・。


「ごめん、二人とも・・・」


 由良は、眠っている二人に深々と頭を下げる。


 リビングの机にうつぶせるように眠っている二人。


 そこにはのみかけの紅茶・・・。


 睡眠薬・・・偶然持っていた。


 いつでも、どこでも決まった時間だけ眠れるようにである。


 家に帰れない『仕事』があるときの常備品のひとつ。


 こんなコトに使おうと思うとは・・・・・・・。


「先咲さんも、悠人も必ず助けるから・・・二人とも待っていてくれよ。」


 家族だから戦うと言ったエリザベス姉さん。


 友達だから救うと言った小松美琴。


 どちらも正しいし、その気持ちはよく分かる。


 だけど・・・・・・・・。


 ・・・・・・・・ここは、家族の出番でも、友達の出番でもない。


 そう・・・ここは・・・