魔道師と暗殺者


「何言ってるんですか!さらわれたのは桜沢くんだけじゃないんです!これは私の友達の問題です!お姉さんこそ引っ込んでいてください。」


 ・・・・・・まったく・・・。


「二人とも、落ち着きな・・・。」


『うるさい!』


 二人の声がはもった


 ・・・・・・・まったく・・・。


「とりあえず、お茶飲みません?」


 落ち着くべきだ。


 彼女たちはもちろんだが、自分自身も・・・。


「何言ってるの?」


「こんなときにお茶なんて・・・。」


 二人とも、息ぴったりだな・・・。


「こんな時だからだろう?みんなで行くにしろ、誰かが一人で行くにしろ、作戦の一つも持たずに、向かうのは無謀だろうに?」


 ・・・というより、この二人に行かせるわけにはいかない。


 ここは、家族の出番でも・・・もちろん、友人の出番でもないのだ。


「・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・。」


 三人の間に流れるしばしの無言。


「・・・・・・・・・・・・・・・・それもそうね。」


「まぁ、そういうことなら仕方ないけど・・・。」


 それから何とか、自分の提案に納得してくれる二人。


 もちろん、どこかの喫茶店ということも考えられたが、エリザベス姉さんは、快くすぐそばにある自分の家・・・すなわち、悠人の家に招待してくれた。