「エリザベス姉さん!」


 隠れていた木の蔭から飛び出し、声をあげる。


「だれ?」


 突然、名前を呼ばれ驚いた表情を浮かべるエリザベス姉さん。


 間違いない。


 こうして会うのは3年ぶりだが、面影は残っている。


 いつの間に日本に帰ってきていたんだ・・・。


「朝倉由良です。覚えていないですか?悠人と同じクラスだった。」


「・・・・・・・・・・・・・・あ~・・・由良くん!久しぶり。大きくなったわねぇ~。」


 妙な間があったぞ。


 さては忘れていたな・・・姉さんらしいけど・・・。


「もう3年もたちますからね・・・いつの間に日本に帰ってきていたんですか?」


「う~んと・・・二週間ぐらい前かなぁ~・・・夏休みを利用してね・・・。」


「誰?」


 一人、取り残された真琴がおずおずと声をかけてくる。


 あ・・・そういえば、真琴は知らなかったんだっけ・・・。


「桜沢エリザベス・・・。悠人の実のお姉さんだよ。」


「えぇ!だって、外国人・・・。」


「最初はみんなして、同じこと言うのね。」


 真琴の反応を見て、エリザベス姉さんはクスクスと笑い声を上げる。


 この笑い方は3年前からずっと変わらない。