「あ・・・由良もやっぱりここに着たんだ。」


 探索を始めて既に二週間以上たったある日。


 街中を歩きながら、考え事をしていると、知っている声に呼び止められて、由良は足を止める。


「真琴?」


 こうして顔をあわせるのは三日ぶり。


 学校には一応、体裁もあるので通ってはいるが、どうしても休みがちなのが現状だった。


 魔道師を探さなくちゃいけない時にそんな暇などない。


「久しぶり、由良。由良も、ここに何かないか探しに着たんでしょ?」


「え?」


 言われて、自分がどこにいるのか、ようやく気が付く。


 顔を横に向けると、広がる雑木林。


 近くには、悠人の家が見える。


 ・・・・・・・・あの時、事件があったあの場所だった


「いつの間に・・・。」


「もしかして、気が付かなかったの?」


「ああ・・・。」


 本当のことだった。


 自分がどこにいるのか、分からないぐらい、自分は追い込まれていたのかと思うと、少し怖かった。


 こんな時に、冷静さを失うことは、致命傷なのに・・・。