~由良~




 状況は最低で最悪だった。


 警察は捜査を諦め、裏社会、情報屋をめぐりまわった由良の成果はゼロ。


 手がかりらしきものすら、つかめていなかった。


 本来の由良の役割は『殺し』。


 捜査、探索は専門外。


 しかも、相手は魔道師。


 20日もたった今となっては、悠人や先咲さんが生きているのかどうかすら危うい・・・。


 状況は、最低で・・・・最悪だった・・・・。


『魔道師は集団で行動するものだ。隠ぺい工作も集団で行い、場合によっては記憶すら消す。そいつの、住処を探すなんて正気の沙汰じゃねぇよ。』


 情報屋の弁である。


 しかし、自分の記憶は消されていない。


 真琴の記憶もおそらくそのままだろう・・・。


 ならば、探さなくてはいけない。


 いかなる理由があって、自分たちの記憶を残しているのかなんて、そこまで考える余裕などない。


 足がある限り・・・、頭が働く限り探し続ける・・・。


 ソレこそたとえ地の果てであろうと・・・。