例えば、ふわふわの淡いピンクのマフラーとか。
Pコートとか、着慣れた制服とか、ローファーとか。
全て貴方と釣り合わない。全て貴方に似合わない。
時折赤を唇にひいて、グレーのアイシャドウに黒いアイライン、ばっさりと束感のあるまつげを自分の手で作って彼を待ち構えると「化粧似合わねぇ。落とせ」と強制的にクレンジングで落とされる。そんなにわたしは彼に近づいてはいけないのか。とその度思うのだが、こちらに手を伸ばしてくれないのなら私が行くしかないと思い彼に近づこうと大人ぶるのはやめない。
結論を出そう。わたしは彼が本当は好きで好きでたまらないのだ。
今日は久しぶりに、たくさん彼のことを考えた。時計の短い針はもうじき12を差しそうだ。そろそろ寝ようか。ふわぁ、とあくびをして、わたしはもそもそと上に動いて枕の上に頭を乗せた。そして毛布をかぶって、携帯を枕元に置いた時ーーー、

