今日は、どんなことを言われるのだろうか。


鬱陶しいくらいに星が綺麗な夜に、わたしはぼさぼさの頭を引っ掻きながら携帯のボタンを二回押した。ボタンを押すだけで今声を聞きたい相手の声を聞く事ができるようになった世の中に不満などない。が、わたしは今電話をかけている相手の声なんか聞きたくもなかった。吐き気がするのだ。

ぷるる、と聞き慣れた音が聞こえて、わたしは頭の中で彼の顔を思い浮かべる。
青柳さん……彼の事を。

茶色い短髪に小さな顔、大きな瞳、高い鼻、薄い唇、白い肌。高い背に、きゅっと引き締まった身体。
青柳さんは、どこを取ってもかっこいい。なんてスポーツ雑誌を眺めながら私の母親が言った事を思い出して、私は目を細めた。顔しか見ていない母親に彼をかっこいいか否か決めつける資格はないと言いたかったが、彼女の次の言葉に私は口を閉じたのだ。「こんな人が、友里の彼氏だなんて」