3人で花火を楽しんだ。
だけどそこに、とても欲張りな私がいた。
来年の花火は…先生と2人で見たいと思った。
したいと思った。ごめんなさい。
いつの間にかロウソクが短くなり、紙コップに火が移って燃えた。
燃え尽きた紙コップを、先生が持ち上げた時だった。

「あつっ!!」

とけて紙コップの中にとこっていたロウが、先生の指にかかった。
思わず紙コップを手放す先生。
その紙コップが地面を跳ね、中のロウが飛び散った。

「きゃあ!あつっ。」

陽菜の腕や顔にかかった。


「先生っ。陽菜っ。」

2人とも痛そうった。
だけど私にはどうしてあげる事もできなかった。
泣きたいのは怪我をした2人のはずなのに、なんだか泣きそうになった。
変わってあげれたら…そんな事思うしかなかった。


「大丈夫?見せて…怪我。…ごめんな。」
「ここ…。」
「うーん…。」

先生の手が優しく陽菜の顔に触れる。
先生の目が、悲しげに陽菜の目を見つめる。

嫌だ。
そんなに陽菜に触れないで。
そんなに陽菜を見つめないで。
やだ…っ。やだよ。


「…相原さん?」

ふと先生の声で我に返った。

私…今何思ってた?

馬鹿だ…。最悪だよ。
陽菜が…人が怪我して、心配するのは当たり前。
2人が怪我してるって、こんな時に私は…。

この時初めて新しい自分を知った。
だけど知りたくなかった自分。
こんなにも醜くて、汚い自分がいるって…。
ごめんなさい。