「それは…できません。」
「じゃあ、最後の日とか言うな!そんな顔…するなよ。」

先生こそ…そんな顔しないでよ。

「もう帰って下さい…。お別れです。これからは、他の女子高生の事でも考えたらいいと思います。」

なんて冷たい言葉。
先生、ごめんなさい。
本当はそんな事ないの。

私の大好きな先生のその瞳が…私じゃない、他の人をうつす。
私の大好きな先生のその手が…私じゃない、他の人と繋がれる。
そんなの嫌だよ。
でももう、どうしたらいいかわからないの。
これ以上、先生を苦しめたくない。
傷付けたくない。

「他の女子高生!?怒りますよ?もう僕の日常生活に、美佳ちゃんは入ってるんです。また毎日、ただただ勉強して働いて、無機質に過ごせと?勝手な事ばかり言わないでほしいですね。」
「先生なら、きっともっと守りたいって…好きだなって思える人と出逢えますよ。」
「…来年は?誰が僕の為にサンタしてきてくれるんですか!?…美佳ちゃんだろ。君の代わりなんていないんだ。」

先生の1つ1つの言葉が、深く胸に突き刺さる。
そして先生の魔法で、今表にでている"私"を破り、中に閉じ込められている"私"が出てくる。

生きたい。
先生ともっと一緒にいたいよ。
私が先生を幸せにしたい。
私が先生を笑わせたい。
先生が他の人の特別になって、他の人が先生の特別になるなんて嫌だ。

「綺麗な髪だな…。」

落ち着いた声で、先生の手が優しく髪にふれる。
ふりほどけなかった。
こんなに好きなの…。

「君がいなくなったら、仕事も勉強も何もできない。いなくちゃならない存在なんだよ。」

例え嘘でも好きな人にここまで言われて、なんとも思わない人がいるのでしょうか?
私は…心を動かされたよ。
また先生に助けられた。

もっとも、私が"第3の選択肢"を中途半端な気持ちで、考えていただけなのかもしれないけど。