「で、ここは…。」
「うー。難しいですよ。」

ただ今定期考査前日、先生の家でお勉強中です。

「わかんないっ!教えて下さい。泣」
「んーいや。だってそうして悩んでんの、可愛いし。もう少し見とく。」
「え…あ…。」

じーっと見つめてくる先生。
恥ずかしい!
…っていうかむしろ、先生が可愛いよ。


「あのさ…今度俺が浜松帰る時、一緒に来ない?」

突然の誘いに、何て答えればいいのか分からなかった。
何かを考えてたわけじゃないけど、私は無言になってた。

「って、や…無理だよなぁ!ごめん、ごめん!」

冗談だよって笑ってみせる先生。
我が儘言ってもいいですか?

「行きたい。先生と…浜松、行きたいです。」

先生は少しびっくりしてた。
だってきっと、思ってなかった反応だもんね…。

「え…。行こうか…また…。」

もっともっと知りたいと思った。
先生が見てきた世界を、私も見てみたいと思った。
こんなに欲張りな私…いたんだね。

先生。先生の事もっと知りたい。

「…?どうした?電車間に合わなくなるんじゃ…。」

立ち止まる私に先生が言った。

「先生に…言いたい事があるんです。」

気づいて。だけど、やっぱり気づかないで。

「…歩きながら聞こうか?」

スタスタと歩きだす先生。

「駄目です!あんまり歩いちゃ、いけないんです。」

言えっ。言うんだ私…。

「えっと…あ…。」
「何?」

こんなやりとりをして約30分…。