「本当笑えるからっ!中見てみて。」

ギュッと唇を噛み締めて、震える手で封筒の中のハガキをだした。

「それ、第3希望のとこ。」

ハガキが何を意味するのか、すぐに分かった。

…不合格。
言葉が出なかった。
涙をこらえるのに、必死だった。

「もう1つ、その中に第2希望のも入ってる。」

1枚の紙。
もう見るのが怖かった。
紙を開きかけて、じっと先生を見た。
頷く先生。

…不合格。

「な、笑えるくない?現実ってやっぱり厳しいよなぁ。」

先生笑ってる。

笑え…ないよ。
先生。私、全然笑えない。
俯いていると、そこにもう1つ白い封筒が出された。

「これ、第1希望のとこ。」


正直、"もう駄目だろな"って思っちゃったんだ。

でもね、そんな事思ったって仕方ない。
ここまで信じてきたの。
祈ってきたの。

だったら最後まで…先生の努力を信じたい。

「え…。合…格?」

びっくりして、嬉しすぎて…心臓が止まりそうだった。

「俺、まだここにいれるから。1人じゃきっと駄目だった。塾の先生達がいたから、この道もありかなって思った。だけど、それだけじゃない。相原さんがいたから…。」
「わ、私ですか?」
「うん。だって君がいなかったら、ここにいなくても…残すものないし。法律学んで行きたいとは思ってた。でも、やっぱり君は大きかったんじゃないかなって思う。…ありがとう。」

先生はまた笑った。
今度は私も笑ってみせた。

「そんな、先生が頑張ったからですよ。」

"おめでとう"そう何度も、心の中で呟いた。

ねぇ、少し願ってみてもいいかな?
私と先生のこれからを。
神様は叶えてくれるかな?

…そっと思った。
先生と、ずっと一緒にいられますように。