「「はい、中川です。」」
「「あ…。先…生?」」
「「そうですよ。どうした?」」


気がつくと、私は先生に電話してた。
あぁ…私の大好きな先生の声だ。
安心したからか、罪悪感がしたからかは分からない。
でも、とにかく涙が止まらなかった。
先生は私が落ち着くまて、ずっと待っててくれた。

「「…落ち着いた?」」
「「はい。…ごめんなさい。」」
「「一体何があった?」」

思い出すと、胸がキューっと苦しくなった。
頭でどうこう考える余裕はなくて、ただ先生に会いたかった。
結局、明日学校帰りに、先生に会える事になった。
先生…ごめんなさい。

**

「やぁ。こんにちは。」
「こんにちは…。」

私が少し固まってるのに気をきかせてくれたのか、先生はなんでもない話で笑わせてくれたね。

「でさ。昨日の事…話せる?」

先生が切り出した。

「あ…。えっと…。」
「昨日、別れてすぐに、携帯に付けたあの勾玉ストラップ…とれたんだ。その時、すごく嫌な感じがした。"あ、落ちた"って思えなくて、連絡しようてしたら…相原さんからきた。一体何があった?」

勾玉のストラップ…。

「昨日。…家に帰ってる時…。男が何人かいました。」
「うん。」
「近くを通った時…1人の男に…。声をかけられました。」

この言葉を最後に、しばらく私は何も言えなかった。
体が…震えた。
少しして、先生が私を呼ぶ声がして、ふと我にかえった。

「相原さん…?」

…言葉が出ない。
頭では分かってるの。
だけど声にならないの。

「…言えません。…言いにくい…です。」
「じゃぁ俺が思い付いた事言うから、当たってたら頷いて?」

こくっと頷いた。