たった一つのプレゼント




「嫌だった?
 幼なじみになって」


迅がそんな事を口にした。



「小さい頃から
 俺にひっついてきて、
 何でもかんでも
 俺の真似ばっかして、」




過去を語りだす迅を
私は真剣に聞いた。




覚えているのは
自分だけだって思ってた。





迅の食べる物を欲しがって
迅のやる習い事をしたくて
迅と一緒に学校に行きたくて
迅と話がしたくて
毎日迅の部屋に行って





「ずっと俺のそばに
 いたよな、お前」




片方の口角だけあげて
少しだけ微笑む君。






何度ありがとうと伝えても
伝えきれないんだろうな。




「迅が幼なじみじゃなかったら
 今のあたしはいない」




私も少し微笑んでみせた。





私達みたいな腐れ縁の様な
だけど温かい関係は





決して


運命と呼べないの?