たった一つのプレゼント




ある程度
部屋らしくなった
新しい住家


迅と私のマンションの一室で



ある晴れた日
荷物を運んで
引っ越しを済ませていた。


晴れた日と言っても
季節はすでに冬で

荷物の整理で身体を
動かしてもなかなか
温まらなかった。




「ホットココア飲む?」



力仕事をする迅に問い掛けると
いつにも増して
優しい表情で頷いた。






勝手に


新婚っぽいな、



なんて思いながら
二つのマグカップに
ココアをそそいだ。




「今度かっちゃんと
 かなちゃん呼ぼうよ」


「そうだな」


「なんかパーティーしたい!!」


「休みとれねぇって」


「えぇー。」


「……いつかな」


「…………」


「いつか、やろう」