これも全部この曇天のせいなんだろうか…
雨の日は気持ちもなんかのらない…
そして桜の木の下に来た。
雨の日はお願い事はしない。
なんか、叶わない気がするから…
ふと、桜の木の根元を見た。
するとそこには昨日見た、そこに座ってる背中があった。
近くまで行ってみてみると颯くんだった。
「颯くん!」
あたしがそう呼ぶと颯くんは振り返って、
「あぁ、瑠李。また会えたね」
笑顔でそう言った。
「こんな雨の日に傘もささずにいると風邪ひいちゃうよ…」
あたしはしゃがんで、颯くんを傘にいれた。
「大丈夫だよ。俺、馬鹿だから風邪ひかないし」
「駄目だよ。…馬鹿でも…風邪ひく人はひくんだから…」
あたしはポケットからハンカチを出して、颯くんの濡れてる肩をふいた。
「いいって。俺なんか傘にいれたら瑠李が濡れちゃう」
「あたしの事は…気にしないで…」
「でも―――…」
「いいから!…あたしは…濡れても…いいから…」
あたしがそう言うと颯くんは驚いたように目を見開いた後、
「ごめん。ありがと…」
そう言った。

