こんな綺麗な彼と私のような平凡な人間が何故一緒にいるのだろう。


思いだそうとするが全く思いだせない。



「…あなた誰?」



初めて彼に口を聞いた私の言葉は予想以上に小さかった。


ちゃんと彼に伝わったかな?と不安にしていると彼は少し微笑んで…



「澪の飼い主。」



「…飼い主?」



飼い主という言葉に戸惑う私に「行こう。」と手を優しく引っ張られて起こされた。



そのまま優しく包みこむように手を握られて前を歩く彼についていく。



歩いているとここは何かの倉庫だったみたいで、重そうな鉄の扉があった。

片手でその扉を開けた彼と私は外に出た。



それから暫く歩いてバス停のベンチに座った。


座っている間、隣に座る彼は私の頭を撫でる。

私の頭を撫でるその手が気持ちよくて、私はギュッと彼にくっついた。