かたっぽうの恋



今日は早く家に帰って、お兄ちゃんの部屋でゲームをしよう。


なんて決意した時



「たぶん教室に忘れたんだっ!」




靴箱の所から二宮くんが走って来た。



「二宮くん!?」



突然、目の前に現れた二宮くんにびっくりして、声を出してしまった。





「ん?あぁ、き…岸本 なに…してるの?」



二宮くん、汗かいてる。



呼吸も荒いし…。


そんなに慌てて、どうしたんだろ?




「わ、私は今から帰る所で……、二宮くんは何を慌ててるの?」


二宮くんは手を膝に当て、中腰になって息を整えている、額からぽたぽたと汗が流れ、床に落下した。


「俺、宿題を教室に忘れて、家からダッシュで取りに戻ったんだよ…はぁはぁ」




そうなんだ、家から全速力で走ってきたら、そうなるよ。









黒の上着は脱いで、ワイシャツの袖をまくりあげ、腕の血管が浮いているのが見えた。






「4月の夕方でも、走ると暑い……、あちぃ」






その腕で流れる汗を拭う姿









カッコイイかも…




あれ…、上着はどうしたんだろ?



「二宮くん上着はどうしたの?」


「え?、あぁ上着なら」





二宮くんの表情が少し緩み、視線が少し泳いだ。





嫌な予感がした。
















「―――秀ちゃん?」





靴箱から、鈴のような可愛らしい声が聞こえた。