もう実習を初めて一週間。
昼休みには一年の教室のある校舎を無駄にうろついたりしてるけど、
眞央ちゃんが見つからない。
「薫ちゃん…、一年に岸本眞央って子、
ちゃんと実在してるよね?」
「なに?」
俺は実習一週間目で藤原先生を名前で呼ぶようになっていた。
薫ちゃんは俺の日誌にコメントを書きながらタバコを吸っている。
「今年入学した一年にいるんだ。岸本って子が」
「岸本。――待てよ」
薫ちゃんは、ボールペンを机に置き
ディスク横に引っ掛けてる名簿を手に取る。
「一年、岸本。―――岸本眞央言う子?」
「そうそうそう!」
「おるわ、A組に……。
なんや、これか?」
薫ちゃんが小指を立てる。
「ばっ!、ばか、違うよ」
「バカってなんやねん、シバくぞ!」
薫ちゃんの腕が俺の首をしめる。
「ぐっ、教頭にビールの事言い付けるぜ?」
そう言うと、ぱっと手を離す。
「お前みたいな、生意気な実習生は初めてや…、はあ」
どうやら、薫ちゃんは本当に大物らしく
翠川高校の理事長の息子さんだったようだ。
しかし、なぜか教頭に弱いらしく
俺は薫ちゃんの弱みを掴んだ。
「あのハゲ教頭やかましいねん…。
――で、その岸本がなんや?」
「いや、ダチの妹なんだけど、
ちょっと気になるつうか、
可愛いつーか、見たいつーか
触りたいつー…」
「もうええから、あんま言わせよったら犯罪の道に入りそうや…。
会えんへんのか?」
………。
「…はい。」

