かたっぽうの恋

「……ごめんなさい」


月島さんは小さな声で二宮くんに言った。


すると二宮くんは、首を横に振る。


「いいんだ」


「…え?」


まさかの言葉に月島さんは、今まで俯いていた顔を上げて、二宮くんと目を合わせた。





「やっと顔。見てくれた」


二宮くんは照れ臭そうにそう言うと、月島さんに頭を深く下げた。



「ごめん、俺。嘘ついていたんだ」



春の夜は静かで風は優しく。川の水面は穏やか。





「俺、今までずっと……ちぐさの気持ち気づいてたよ」








……。




「「えぇっ!」」






私と月島さんは仰天し声を荒げた。


それに肩をビクつかす二宮くんと土手に降りてくる途中の先生。



「ちぐさの気持ちに気づかないふりしてた。かもしれない…。」


「秀ちゃん。そんなのいいよ…」


「幼なじみの関係が変わるのが怖かったんだよ。」



「わかったもん。私、フラれたの…わかったから」



耳をふさぎ込み、「言わないで」と嫌がる月島さんに、二宮くんは一歩足を踏み込むと負けないように声を張り上げた。



「…だからって、俺!」



月島さんの肩を掴み、二宮くんは顔を赤らめ



「ちぐさと離れたくはない」



私も先生も、そして月島さんもハッとする。






「ごめん。それしかわからないから…」



二宮くんに背中を向けたまま、立ち尽くしている月島さんは、今にも泣きそうな顔をして言った。




「……彼女になんかならなくていい。」