「別に、邪魔じゃねぇけど…」

将君が苦笑いを浮かべながら奈美ちゃんに言って、握手していた手をゆっくり離した。

「邪魔じゃねぇけど?」

奈美ちゃんがからかうように笑いながら将君に尋ね…
尋ねられた将君は少しムッとしたような顔をして奈美ちゃんにこう言った。

「邪魔じゃねぇけど…人の事からかうなよっ!」

「えー?」

「えー?じゃねぇよ;」

不満そうに言う奈美ちゃんと呆れた様に頭を掻く将君…

そして、話についていけない私だった……


「え、っと…」

「あぁ、葵。気にすんなよ…?」

気にすんな…?
えっと、なにをですか…?
え、なんか気にするような事を奈美ちゃんか、将君が言ったの…?!

私はわけがわからず将君の言葉を必死で理解しようとしていた。

そんな中、奈美ちゃんと将君が言い争いをしているとも知らずに……


「奈美。葵にバレそうな事言うなよ。」

「なによ、私が居なかったら葵に話しかけられなかったくせに!」

「うるせぇよっ!だからってあんな事言わなくても良いだろ?!」

「私がなんと言おうと私の勝手でしょ?!」

私が考えるのをやめて将君に聞こうと思った時、奈美ちゃんと将君が大きな声で言い争いをしているのに気付いた。

「な、奈美ちゃん?将、君…;?」

焦りながら問い掛けるも返事は返ってこない…
完全に聞こえてないみたい…
どうしようー;!

でも、あんなに喧嘩に近い言い争いしてるなんて…
あんな奈美ちゃん、初めて見た……
…って!こんな事考えてる暇は無かったんだった;!!

「な、奈美ちゃん!!将君!!!」

いつもは出さない位の大きな声で二人の名前を呼んだら、言い争いがピタッと止まった。

「あ、葵?」

奈美ちゃんが驚いたようにビクッと肩を震わせて、私の方を見た。