「……でも、葵に好きな人が居るなんてねぇ…」

意外そうな顔をする奈美ちゃん。
そんなに意外かなぁ…?


私は首を傾げながら考える。


別に意外でもないと思うんだけどなぁ…

「…あ、奈美ちゃん…危なっ…」

《ドンッ》

「いったぁ…」

ふざけてた男子が奈美ちゃんにぶつかった。
ぶつかった反動で奈美ちゃんは尻餅をついてしまった…

「大丈夫?奈美ちゃん…」

そう言いながら私は奈美ちゃんを立たせようと手を差し出した。

「んー…なんとか大丈夫…」

苦笑いを浮かべながら私の手をとり立ち上がる奈美ちゃん。

「あ、わりぃ…」

声が【あのヒト】と似てる…

フッと声のする方に顔を向ける。

「……え?」

その声の主は……
私の大好きな【あのヒト】だった…

「……って、奈美かよ…」

「奈美かよってなによ、将」

奈美ちゃんは知り合い、なの…?
………将君と…

「な、奈美ちゃん…」

「なに?葵」

「将君と…し、知り合いなにょ?」

……あ、ヤバいぃ…
将君を意識し過ぎて噛んじゃったぁ……


噛んだことに落ち込む私。
そんな私を見て奈美ちゃんが《ニヤリ》と不敵な笑みを浮かべているなんて、私にはわからなかった…

「葵。将は幼馴染みなの」

落ち込む私に奈美ちゃんがそう話しかけてきた。

「え、幼馴染み…?」

信じられない。とでも言うような顔をしてたらしい。
将君が笑いながら私に言ってきた。

「……プッ、奈美の言う通りだな!」


将君の言ってる意味が今の私には理解出来なかった…