「で、結局誰なのよ?」

授業が終わり、奈美ちゃんが再び聞いてきた。

「だ、だから、教えられないってば~」

「別に減るもんじゃないからいいじゃん」

「……また、頬っぺたを横に伸ばしちゃうよ!」

「えっ!あれ、痛いからイヤよ!」

私が、頬っぺたを横に伸ばすフリをすると、奈美ちゃんは自分の頬っぺたを手で隠した。

「もう この話題は辞めて、他の話をしようよ」

「あ~逃げたな~!」

「逃げてないよ~」

【あの人】の話題になると、恥ずかしくて……でも、胸がドキドキして顔が赤くなっちゃうから……

少しだけ赤くなった頬っぺたを奈美ちゃんに気付かれないように、ニッコリと笑った