「葵……って…何で泣いてるの!?将!葵に何やったの!」

泣いている私を見て、奈美ちゃんは将君に怒鳴った。

将君は…悪くないのに………私が勝手に泣いてるだけなのに…………声が出ないよ…………

「何でも…ないから……………奈美ちゃん…………ごめんなさい……」

「ちょっと!葵!?」

「葵っ!待ってくれ!」

震える声を抑えて小さく呟き、私は屋上から飛び出した

奈美ちゃんと将君が私の名前を言っていたけど、振り返らなかった………
振り返れなかった………

「奈美ちゃんは…将君が好きなのに…………気持ちを止めるなんて…できないよぉ………」

将君の優しさに触れてしまったから……思いが強くなってしまったから…………

私はただ………誰もいない廊下で泣き崩れるしかなかった………