授業の終わりのチャイムが鳴る。
「空、このあと暇?」
「あーちょっと無理、かも」
「そっか!じゃあまた今度!ばいばい!」
「ごめんね!またねー!」
このあとは…屋上で瑞希に会うんだ。
あたしはさっそく階段を上へ上へと上がっていった。
そして、息を切らしながらドアを開けた。
「やっとキタ。」
光が差していてよく見えないが、瑞希の声はちゃんと聞こえた。
「遅くなってごめん!」
あたしは目をこらしながらその人のもとへ行った。
「おせーよー、そら」
「………え…?」
あたしはびっくりした。
話し方が違うことに驚いたんじゃない。
瑞希の姿が……王子様キャラだったのに…
全然ちがう…。
着くずした制服、ワックスでフワッとした髪、耳にはピアス。
その姿はまるで…不良。
「瑞希?どしたの?なんか辛いことでもあった?」
あたしはついつい心配になって聞いた。
「は…ははっ!ちげーよ!」
お腹をかかえて笑う瑞希。
あたしの頭上にははてなマークしかない。
「…これが、本当の俺。」
…コレガ、ホントウノオレ?
言っている意味がわからない。
「やっぱさー、第一印象って大事じゃん?だからあんな素敵なキャラをやってたわけ!」
壁にもたれながら瑞希が笑う。
やっぱりその笑顔は変わらず、太陽みたいに素敵な笑顔だった。

