ここ、東京都内にたたずむお金持ち学校、

五十嵐学園は―…



「皆さまごきげんよう。」
「ごきげんよう。」


綺麗な言葉、
綺麗な姿勢、
綺麗な容姿。

全てに気品を求めるお嬢様。


「あっ、篠崎さんだわ!!」
「えっ?篠崎さん?」

「あぁ、あのね。ここには凄いお嬢様がいるのよ。」

五十嵐学園のトップと言っても過言ではない、

気品
容姿
それと学歴。

全てを兼ね備えたお嬢様のなかのお嬢様。


「篠崎 詩苑さん!」
「…あら先生。」
「ごめんなさい。成績表を渡すのを忘れてしまって…」

そう微笑んで先生は成績表を私に差し出した。

「あぁ、休んだときの。ありがとうございます先生。」

深々と頭を下げて、
立ち去ろうとした。

けど、

「凄いわね、今回も首位キープなんて。」
「はは…とんでもございませんわ…。」
「さすが篠崎さ…「すいません、急ぎますので。」

頭を軽く下げ、
廊下の角を曲がった瞬間、
スカートをまくり上げ、
ダッシュした。


「やばっ、タイムセールに遅れちゃう!」


(ホントに走りづらいなぁこんなに長いスカート、今時誰も着ないわよ!)


彼女の今の姿を見られようものなら、多分退学だろう。

だがそれよりタイムセール。



なぜなら彼女は《貧乏》だからだ。



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