担任が教室に入って来て、何やら黒板に文字を書き出した。 "体育大会 種目決め" あたしの額を汗が伝った。 個人種目に…バトンはないから大丈夫。 そう自分に言い聞かせながら、次々に現れる白い文字たちを凝視していた。 「顔怖いよ、祈沙」 言われて気付いた、自分の眉間によった皺。 隣を見ると、また笑っているかと思った優衛くんは、窓の外を無表情で見つめていた。 「――さくら………」 そう、切なそうに呟きながら……