反射的に差し出された傘を受けとってしまった。



「あの、先輩は傘もう1本あるんですか?」



「大丈夫。今日は濡れて帰りたい気分だから。」



にっこり微笑む先輩に反射的にでも受けとってしまったことを後悔する。



「やっぱり傘いいです!あたしが濡れて帰りますから!」



1本しかない先輩の傘を借りて帰るほど、あたしは図太くない。

丁重にお返ししようとすると先輩があたしの手を押し返した。



「風邪引いちゃったら大変だし、女の子を雨にさらすなんて出来ないよ。」


"女の子"
先輩のこの言葉にキュンと胸が締め付けられた。


"じゃあまたね"
それだけ言い残して先輩は帰って行ってしまった。