「彩芽、唯斗くんに勉強教えてもらったら?」


「えっ…!」


「いいよ。見てあげるよ。勉強。」


お兄さんが微笑む。


…や、やった!!


お母さんナイス!


「うんっ。」






―――――………



「何教えてほしい?」

私の部屋で、お兄さんは教科書を眺める。


「えっとぉ、数学がいいかな…」


「うん。いいよ。」



ページを開くと、難しい数式が並んであった。


お兄さんは分かりやすく教えてくれて、いつしかページが薄くなってきた時。


お兄さんは急に笑い出した。


「えっ?なになに?」

私はキョトンとすると、お兄さんはくまの縫いぐるみ達を指差す。

「本当に彩芽ちゃんは縫いぐるみ好きだよね。」


私の部屋に置かれた縫いぐるみの数は相当なものだ。


「どうせ子供ですよー。」


私は頬を膨らましてそっぽを向く。


「でも…彩芽ちゃん大人になったよな。」



……………。


「えっ!!?」


私は思わず大声を出してしまった。



「前会ったのは丁度1年前だったね。その時は髪も短かったけど…今は背も髪も伸びて大人っぽくなった。」


真顔で言うお兄さんが私は凄く胸の奥がきゅううっと締め付けられた。