美津枝は唇を噛むと、ギッと私を睨む。


!?


急に美津枝は私を思いっきり頬を平手ではたいた。







「…なっ」



「あんたなんか…っ優作の邪魔になるだけなのに…!」


私は訳がわからなくて、美津枝の苦しそうな顔をただ見つめることしかできなかった。


「…優作を知ってるの?」


頬をおさえながら静かに呟くと、美津枝は顔を逸らした。








「ねぇ…なにか知ってるんでしょ!?」


美津枝の細い肩を掴むと、美津枝は軽く笑う。


「…そうよ?私は優作の幼馴染み。」


「幼馴染み…?」


優作にこんなに近い人がいたなんて…


優作の寂しい顔がふと頭を過ぎった。





「私にはわからない…どうしてあなたなの!?私ずっと優作を見てきたのにっ。ずっと優作を守ってきたのに…!」


美津枝は私を突き放すとそう叫んだ。


この人は…どれほど優作を想ってきたのだろう。


どんなに好きでも、それが相手に伝わっていたとしても、それは本人に罪悪感を与えるだけ…



でも本当に…


「本当に……好きだったのに……」


美津枝は頭を抑えて苦しそうに吐き出した。

私はそんな美津枝に手を差し出す。





「……なにがあったんですか?」


「あんたなんかに話したくない!!」



「私も…選ばれた訳じゃありません。どっちかっていうと…捨てられてしまった感じ?」

そう微笑むと美津枝は顔をあげる。