彩芽 7歳





「あーあ。つまんないのー。」


私は近くにあった空き缶を蹴飛ばすとその場に座り込んだ。


夏休みは何だか暇で、暑苦しい毎日を過ごしていた。



目の前のお店ではラムネが氷の中で冷えている。


喉がカラカラの私は頬を膨らまして眺めた。



「おばちゃん。ラムネちょうだい!」


一人の男の子が駆け寄る。


嬉しそうにラムネを受け取ると、その場でラムネを飲み始めた。




いいなぁ…


じーっと見つめる私に男の子は気付くと私の方へと近付いてくる。



「はい。」


男の子はラムネを差し出す。


「…いいの?」


男の子は笑顔で頷いた。


私はラムネに口をつけるとゴクゴクと飲む。


「…ありがとう。」



「うん。おいしかった?」


「うんっ!お兄ちゃんだあれ?」


「僕は優作。天月 優作。」


優作と名乗る男の子はあまりにも綺麗な顔立ちで、真っ黒な髪がキラキラと光る。



「私はあやめ。ね、一緒に遊ぼ?」


「えっ?僕と?」


「うん!優お兄ちゃんって呼んでいいでしょ?」


「う、うん。」


私と優お兄ちゃんはすぐに仲良くなった。


名前の通り優しくて、頼りになって…


どこにいてもいつも一緒だった。