私はファイルを戻すと、学校を出た。





何で自分がこんなに必死になっているのか分からない。



でも…心が何だかザワザワする。


心の奥から早く早くと叫んでいるように……












私は、その犯行があった場所へ向かった。



道路を抜けて、椿の花が並ぶ道の奥深くに路地があった。






……椿の花…


綺麗なのに何だか怖い。


私をその先に行かさせないようにに道を塞いでるみたい…



息を荒くしながら、椿の花をわけた。



その度にポトポトと椿の花が落ちる。





…?



なんだかこの感覚…知ってる気がする。



私は椿を抜けると、路地へ出た。








湿った地面。



腐れた鉄くず。



滴る水滴……



ここが…殺された場所………




ゾクッと背筋が凍るような寒気がして、一瞬息が苦しくなった。








なに……?



なんなの…?



『……今日は…帰れ…な……』



頭の中の記憶が、ザアザア音がする壊れた映像のように蘇る。





『……あや……』



誰!?


痛い…痛いよ…


頭が痛いの……



思い出したくない。



『どうして?』




怖いから…



『何が怖いの?』



…え?





『君は何を見たの?』












よろけた足が、石に躓いて私は後ろへと倒れた。










…私は………




見たんだ。







彼を。